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「液晶産業のアーキテクチャと企業戦略」(ものづくり寄席)

最近、『ものづくり寄席』というのを知って、今日初めて聞きに行ってきた。上のタイトルが本日の演目。「師匠」(講師)は、朴英元氏(日本学術振興会外国人特別研究員)。備忘録代わりだが、その概要(一部省略されている)は以下のとおり。

 

- 液晶産業の現状:現在のシェアは日本が減少、韓国、台湾が上昇。トップは、SAMSUNG,次がLPL、以下台湾系が続く。 

- これまでの経緯 

  • 90年代初めに日本企業がノートPC用に事業化。90年代半ばにSAMSUNGが参入。90年代後半に台湾がノートPC事業立ち上げ、多くの日本企業が撤退。
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  • 第3世代(3G)~第3.5世代(3.5G)まではシャープが先行投資。その後、SAMSUNGが先行投資。最近は、シャープとSAMSUNGが先行争い。
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  • 3~3.5Gあたりまでは日本企業から台湾に技術移転。5~6Gになると韓国企業から台湾に技術移転。 

-企業戦略   

  • 「大型化と標準化戦略」:2006年以降の大型化で、シャープとSAMSUNGが投資競争、高付加価値の製品で欧米市場狙い。台湾メーカは2番手戦略でBRICS市場狙い。
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  • 「大型化とクラスター戦略」:部材もまとめて1か所で生産する戦略へ。
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  • 「垂直統合か水平分業か(1)」:韓国・台湾企業は内製化率を高めようとしている。1次部材(ガラス基盤等)の比率は高いが、2次部材(PET、フィルム等)では低く、日本部材メーカ企業の比率が高い。実際、日本部材メーカのシェアは、ほとんどの部材で50%以上。他方、モジュール化の進んだ部分での日本メーカのシェアは低い。
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  • 「垂直統合か水平分業か(2)」:パネルと川上部材との統合(メーカは、提携や垂直統合により関係強化)。パネルと川下製品との統合(SAMSUNG,LPL、SHARPはTV組み立てまで統合、他方、台湾パネルメーカは水平分業(例として台湾系のVIZIOが米国で1位に)) 

- パネルメーカの今後の論点(パネル技術とパラダイム変化の可能性、大型化と超薄型化の同時追及) 

- LCD産業のアーキテクチャ   

  • 製造装置の売り上げシェアでは、日本企業が大半をしめる。日本企業から台湾への技術移転(既述)は、装置自体が日本から台湾に輸出された。
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  • 「製品アーキテクチャ」と「工程アーキテクチャ」
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  • 製品アーキテクチャ:モジュール化した部分もあるが、一方でパネルを作るために必要な部品は相互依存性が高く(インテグラルな要素がある)、パネルメーカによる擦り合わせが必要。
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  • 工程アーキテクチャ:やはり相互依存性が高い工程があり(例:TFTアレイ)、装置メーカによる工程間の擦り合わせが必要。ここも日本のメーカが競争力を持っている。 

- まとめ   

  • 国際分業構造:川上(部材、設備メーカ)は日本、パネルは日本・韓国・台湾、川下(TVメーカ)は日本、韓国 

以上が講演。以下質疑。

Q:2次部材における韓国・台湾のキャッチアップの可能性? 

A:内製化の可能性は低い。パラダイムシフトがあれば別だが。

Q:韓国・台湾も政府が支援するなど力を入れているが、8割方追い付く可能性もないのか? 

A:可能性はないとはいえないが、それよりSAMSUNGのような大企業が日本の部材メーカを買収する可能性の方がある。 

Q:企業戦略上の日韓と台湾の市場棲み分けについては、VIZIOの例もあり維持できない可能性もあるのか? 

A:棲み分けは2006年までの投資戦略に基づく。今後変化の可能性あり。 

Q:大型化が進むと少数の企業によって市場が構成されることになるのか? 

A:50インチ以上ではその可能性あり。 

Q:中国はキープレーヤにならないのはなぜか? 

A:難しい質問だが、技術力がない。中国が強いのは安い労働力による組み立て。

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