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ものづくり寄席千秋楽・大喜利

本日、「ものづくり寄席」@丸の内の千秋楽(最終回)の大喜利ということで、パネルディスカッション(のようなもの)。パネリストは、藤本 隆宏、新宅純二郎(司会)、高橋伸夫、安田雪、天野倫文の各氏。テーマは、(A)アジアの中(あるいはグローバル環境の中)での日本企業の在り方、(B)人づくり、組織の問題、の2つ。

   

概要は次のとおり(ただし、ラフなものなので一部に誤りがある可能性)。例により、備忘録として。

   
 

(A)アジアの中(あるいはグローバル環境の中)での日本企業の在り方   

   

まず、天野氏がプレゼンテーション。以下、ポイント。    

   
        
  • ・この10年、世界主要国で日本のみがグローバル化で後退。      
  •       
  • ・日本企業のグローバル化は製造業が先導。業種別に海外事業活動のシェアを見ると、売上では、自動車が4割、電機が2割、化学が8%。しかし、利益では、自動車が5割、電機は1割に満たず、化学が17%。      
  •       
  • ・アーキテクチャで説明すると、日本とASEANはインテグラル・アーキテクチャ、米国と中国、韓国はモジュラー・アーキテクチャ。台湾はその両方に重なり、面白い存在。ベトナムへの投資(1位韓国、2位シンガポール、3位台湾、4位日本)の中でも、台湾企業は南部に集中投資しており、また非製造業にも進出。    
  •    
   

天野:日本企業は、現地生産において日本人社員を減らしてきた(それだけでなくローカルの人材を育てることが必要)が、それは同時に日本企業の本社から中間層が海外に勤務機会が減少。米国企業はローカル人材の開発を前から進めている。またトヨタは、海外生産でもラインは現地化(社長含む)、スタッフは本社(日本)からと分け、うまくいっている。   

   

藤本:「市場があれば現地に工場を作る」というのは古くないだろうか。実態はそれからずれてきており、「適材適所」(得意なものを得意なところでつくる)になっている。その典型が、タイ、台湾、トルコといった他国への輸出拠点になっている小国。

      

(B)人づくり

   

安田:「適材適所」になった場合、日本には何が残るのか。

   

藤本:「進化する工場」(=生産性の向上)しか、日本には残らない。正規工が何%残るかを意識すべき。例として、カイハラ(福山市)。

   

安田:転職市場がないと成果主義ができない。20-30代は動きがとれなくなっている。

   

高橋:成果主義は終っている。若者は「自分の市場価値を高める」といっているが、転職市場があり転職できることは強みではない。たとえば、プログラマは、転職できるが、一生プログラマでずっと同じ給料。会社にとっては互換性のある部品である。

   

安田:言いたいことは、ひとつには「ロスト・ジェネレーション」を起こさないようにしないといけないということ。もう一つは、上司が問題ということ。

   

高橋:バブルのころからおかしい。そのころは「これからは実力主義」と言われたが、それは大量の新卒者を入社させていたから。最近の金融機関なども1000人以上採用している。結局、計画性がなく、いきあたりばったり。自分の頭で考えていない。   

   

新宅:かつて日本企業から大量に米国のMBAに派遣していたが、いまや米国西海岸のS大では、MBAコース350人中、日本人はわずか2人のみ。   

   

 

   

【まとめ】 開かれたものづくりと21世紀の日本(藤本)

      

○ ものづくり論から考える企業像とリーダー像   

   

・ものづくりとは「設計情報をものにつくり込むこと」。設計は本来、社長の専管事項。が、忙しいので部下に移管する。従業員は社長になりかわってこれを行う。   

   

○ 物財もサービスも、原理原則は同じ。「良い流れ」をつくること。   

   

<1> あるべき姿   

   
        
  • 開かれたものづくりのコンセプト      
  •       
  • 統合型ものづくりの組織能力の構築      
  •       
  • すりあわせ型アーキテクチャの選択      
  •    
   

*この10年は「だってグローバル化だもん!」で全部通った。それで最後には単価にまで手をつけてしまった。しかし、生産性を上げていくこと、(カイハラのように)高い給料の正規工でもやっていけるようにすることが重要。   

   

<2> 避けるべきこと   

   
        
  • ものづくりを一過性の流行ととらえること      
  •       
  • ものづくりを「匠の世界」と狭くとらえること      
  •       
  • ものづくりを万能薬と安易に捉えること   
  •    
      

<3>やるべきこと(以下の7つを同時に)→ 開かれたものづくり現場へ 

   
        
  • ものづくりインストラクターの社内スクールを開講せよ      
  •       
  • 大企業は5日勤務か完全退職の二者択一以外の継続雇用オプションを提供せよ。      
  •       
  • グローバル企業は適材適所の海外展開を長期視点で熟考せよ。      
  •       
  • 中小企業は「良い流れ」をつくり、付加価値・生産性を高めるため外部人材を積極採用せよ。      
  •       
  • 政府は中小企業の「良い流れづくり」「人づくり」「インストラクター活用」を支援せよ。      
  •       
  • 地方自治体は地域におけるインストラクターの需給マッチング事業を強化せよ。      
  •       
  • 大学は文理統合のものづくくり技術経営教育を強化せよ。      
  •    
   

*インストラクターは50代、60代を活用。

   

上からわかるとおり、全体的に統一感がなく、各パネリストもそれぞれ自分たちの言いたいことを言っていて、必ずしも深い議論だったとはいえない(例えば、人づくりのところでの安田vs高橋は、議論の焦点がお互いややずれていたように思う)。しかし、元々「それぞれが勝手に言いたいことをいう」という趣旨のものであったし、それなりの内容もあったので、”寄席の大喜利”としては、良かったのではないだろうか。

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