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映画「Sicko」

今日夕方、渋谷にてマイケル・ムーア監督の映画「Sicko」を見た。米国の医療保険制度の問題を扱った作品。Yahoo! Japanからの引用だが、

ドキュメンタリー監督マイケル・ムーアが、4700万人の無保険者だけではなく、保険料を支払っている数百人にもマイナスの影響を及ぼすアメリカの医療シ ステムの実態を明らかにする。カナダ、イギリス、フランスを訪れ、国民全員が無料医療の恩恵を受ける国の事情を見つめながら、アメリカの混乱した医療制度 を浮き彫りにしていく。

米国の医療保険の問題点は認識はされていて、かつて(映画にも出てくるが)クリントン政権時にヒラリークリントン女史をヘッドに取り組んで失敗した経緯がある。この映画は無保険者の問題というよりも、医療保険に加入しているにも関わらず、保険会社が利益のために加入者に保険金を出すのを拒否し、このため多くの一般のアメリカ人が満足な治療を受けられない実態が中心に描かれている。そして、カナダ、英国、フランス、そしてキューバ(!)で、医療がほぼ無料でカバーされる国民皆保険制度を紹介し、それらの国が米国よりも平均寿命が長く、国民からの満足度が高いことを示している。

無論、こうした議論は一面的との批判は可能である。米国の医療技術が最高であるといわれており、他方で、皆保険制度は必然的に普段から国民の負担を増やす。社会的選択の問題である。

また、映画は、ニクソン、レーガン、ブッシュ親子と歴代の共和党政権、その他主として共和党の政治家を、現在の米国の制度(というよりは保険会社といったほうがよいか)をサポートする人間として描いている。他方、ヒラリーは肯定的に扱われている(ただし、改革挫折後は保険会社からの献金が多くなり、この問題に沈黙するようになったとしており、民主党なので明示的には批判しないものの、否定的なトーンを出しているといえる)。来年の大統領選挙を控えて選挙戦がすでに始まっている現状を捉えれば、明らかに選挙を意識した(ムーア流の反共和党)キャンペーンといえるだろう。

このような意味でこの映画が問題を公平に扱っている、と考えるのは早計であろう。

とはいえ、映画を見て、実際に保険会社から拒絶されるたくさんの人々の姿を見ると、やはり米国の医療保険制度が大きな問題を抱えているのは否定できない。ムーア映画が気に入らない人は気に入らないだろうが、映画監督としてムーアの一般大衆へこうした社会問題についてアピールする仕方は上手いと思う。正確な言い方は覚えていないが、映画の最後の方で、ムーア監督が「自分のこと(me)だけでなく、われわれ(we)を考えよう」というようなことを言っていたのが印象的である。

Yahoo! Japanのこの映画のコメント欄を見ると「アメリカのことを見て何か意味あるのか?」というコメントもあるが、おそらく意味は大きい。国民皆保険制度が何でもよいわけではないだろうし、米国の制度も医療保険制度の一つのあり方である。そうした選択肢のどちらがよいのか、ということは医療費が年々増加している日本にとっても大変重要な問題である。そうしたことの材料の一つ(あくまで一つだが)を提供してくれる、意味のある映画である。

ちなみに、こうした社会派的な映画であり、渋谷という土地柄ではあったが、(最近公開され多少は話題になっているということか)、客席は半分くらいは埋まっていた。これを多いと見るか、少ないと見るか。

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